確かに普通の窓の外に鉄の格子がはまっていた。

教授達はその前に歩いていった。

そのうつり除けは10cm四方の格子になっていた。

かなりしっかりした造りだった。

「昔はこれが全部の窓に付いていたんですよ」

冬子が言った。

確かに、見える窓には全て付いていた。

「今の新しい母屋には付いてないんですね」

教授が母屋と見比べた。

「そうですねぇ。今は何で付けるのかも分からないから」

「このうつり除けについて、何か聞いたことはありますか?」

季世恵がうつり除けに触りながら言った。

「そうねぇ。私が子供の頃はまだ、『うつりが来るから開けちゃダメ』とは言われてたけど、単に、戸締りすることを教えるためだと思ってたのよ」

「うつりが来る…」

遥香は教授と顔を見合わせた。

「その『うつり』って何だと思います?」

遥香は冬子を見た。

「結局、何なのかは分からないけど、そっちの方が怖いでしょ?親は、何か怖~い感じで言ってたけど、きっとそんなものよね」

「まあ、そうですよね」

「忍ちゃん、これ、写真に撮っておいて」

「はいよ。って、ちゃん言うな」

「えへっ」

車だけでなく、こういう点でも忍は役に立つ。