遺体発見現場の家
遥香は、マンションから歩いてきて、遺体発見現場に差し掛かっていた。
周りはかなり薄暗くなっていた。
「あの家か…」
家の前にさっきと同じ黄色いテープが貼られていたのですぐに分かった。
ふと気が付くと、その家の前に誰かいた。
それはさっきマンションで見掛けた白っぽいワンピースを着て赤い靴を履いた女の子で、その家を見ていた。
肩までの黒髪が真っ直ぐ綺麗で、お人形さんの様なかわいい顔をしていた。
手にはボールを両手で持っていたが、そういえば、さっきも持っていたような気がした。
「ねえ」
遥香が声を掛けると、その子はゆっくりと遥香を見た。
「あれ?遥香ちゃん?」
その声に振り向くと、三田村と赤井が歩いて来ていた。
「あ、こんばんは」
「どうしたの?」
三田村が遥香と家を見た。
「ばか」
赤井が軽く三田村の頭を叩いた。
遥香も苦笑しながら、花束を目の前に持った。
「あ、そうだよね…、ごめん」
その三田村の言い方に、赤井が再度彼の頭を叩いた。
「え、何するんですか?」
「うるさい」
「ぷっ」
その二人のやり取りに、遥香は噴き出した。
「いや、ほんとすみませんね」
赤井が横を向きながら言った。

