うつりというもの

「うつり?」

「そう、『うつり』だ」

「でも、特に何も書いてないじゃないですか。何ですか?これ」

「俺にもわからん」

「は?」

「俺はそんな言葉は検索ワードにしてないが、関連付けられてあちこちで引っ掛かるんだよ」

「中身は何なんですか?」

「それが、引っ掛かるのは、まずは『うつり』という言葉なんだよ。だから、まずは関係ありそうな物が無いんだ」

「それじゃ、本当に意味がないじゃないですかぁ」

「そこでだ、『うつり』に重点を置いて再検索を掛けている。すぐに引っ掛かったのは目を通したが、後は巡回で何か引っ掛かるまでしばらく待つさ」

「はあ…」


でも、なぜ首に関する殺人事件でそんな言葉が引っ掛かるのか、確かに気にはなった。

遥香は、自分のケータイで『うつり』を検索してみた。

検索結果には、まずは結婚祝いのお返しの『おうつり』がズラズラと並んだ。

漢字では『お移り』。

他にはおためとも呼ばれるが、お祝いを確かに受け取りましたという意味も込めて、お祝いの一部を返す風習のことだ。

その『お移り』以外では、

『人の住所などが変わること』

『火事などが他に伝わること』

『移り変わること』

『ゆかり。関係』

『代わりの人。身代わり』

『事情』

など、意外といろんな意味があった。

これらの中で遥香が何となく気になったのは、『代わりの人。身代わり』だった。

頭と身体が違う。

遥香はこの意味で引っ掛かったのかとも思ったが、

代わり…か。

ただ漠然とその言葉を頭の中で繰り返させた。

それと、何かここ数年の間に『うつり』という言葉を聞いたことがある様な気もしたが、今は特に思い出せなかった。