うつりというもの

事件現場に近い世田谷区某所マンション


被害者宅は駅から意外と近く、少し古いが入り口は一応防犯カメラ付きのオートロックのマンションの404号室で、他の捜査員、鑑識と共に赤井と三田村も中を調べていた。

被害者は柳静香、28才、無職。

被害者は一人暮らしだったが、あの事件直前に派遣先を切られていて、彼女が行方不明になっていることに、ここ1ヶ月、誰も気が付かなかった。

数少ない友人が、彼女と連絡が取れないことから、様子を見に来た際、ドアの郵便受けから中を覗こうとして異臭に気が付いて通報したのだ。

中は特に争った形跡もなく、異臭の元は、餌を与えられずに餓死した猫だった。

ただ、身元不明者のDNA鑑定を真田が指示していたので、その結果、あの遺体の身体の方だと判明したのだ。


「ここ血液反応が少し出ました」

鑑識の声に、捜査員達が寝室に集まった。

「でも、少しだけですね」

「そんなんだと、ここが殺害現場だとは言えないな」

「そうですね…ただ怪我をした、くらいですか?」

「だよな…」

捜査一課員と鑑識課員の会話で、皆が「何だよ…」みたいな雰囲気で、また散開した。

赤井は寝室で怪我というのが少し気になったが、「まあ、女性ならあり得るか…」とも思った。