うつりというもの

「普通の検索エンジンだと、結果がフィルターにかけられて意外とリアルな情報は手に入らなくてね。俺のはそんなフィルターはかけずになるべく表示するし、検索結果も、検索文字列が入ってなくても『関連すると推測した』結果も表示する。さらに、その時点で無い情報もロボット巡回式で集めてくれるんだ」

そう言った教授の顔はまるで少年の様で、遥香は、こんな人だったなとあらためて思った。

「さて、中身を見てみるか」

教授がそうは言ったが、

「えっと、先生…、検索結果が信じられない数になってるんですけど」

遥香は目を点にした。

「これ、一応、上から検索ワードを多く含む順、推測分は関連性が高い順に表示されてるからさ、見るのは上の方だけで済むよ」

「ほんとですかぁ?」

「だいじょぶ、だいじょぶ」

と、教授は言ったが、実際、いつまで掛かるか分からなかった。

「先生、大学が夏休みとはいえ、大丈夫なんですか?」

遥香は、一つ一つ内容を確認している教授に聞いた。

「ん?…ああ、だいじょぶ、だいじょぶ…」

教授は検索結果を見るのに集中していて、遥香の言ったことには話半分だった。

遥香は軽く溜め息をつくと、空になったカップにコーヒーを注ぎに行った。