その日の夜 世田谷西署捜査本部


「隅田です。真田管理官に変わって今日からは私が本件の指揮を執ります。そして、4件目が吉祥寺署管内で起きたので、吉祥寺署との合同捜査本部になります。さらに、これまで捜査一課7係と8係で捜査してきましたが、さらに9係も加わります」

「若いですね」

三田村が赤井に小声で言った。

「捜査一課唯一のキャリア管理官だからな」

「本件に関わったら、経歴に傷が付くんじゃないですか?」

「だろうな」

赤井は言葉以上にそう思っていた。

「あと、世田谷西署の赤井と三田村、それから7係の池田と松田は捜査から外れてください」

「え?」

池田と松田は驚いたが、赤井と三田村はただ顔を見合わせただけだった。

「幽霊がどうだとか言ってる様な捜査員は必要ないので」

「いや、管理官、ちょっと待ってください!」

「待ってくださいよ!」

松田と池田が管理官に詰め寄るのを尻目に、赤井と三田村は頭を下げて会議室を出た。

廊下に出て、ドアを閉めると、二人は捜査本部の戒名を見た。

「世田谷区女性連続殺人事件…か。相変わらず、簡単だよな」

「ええ」

三田村も同じ事を感じていた。

「管理官が変わってどうなることかと思いましたが、動きやすくなりましたね」

「ああ、そうだな」

赤井は戒名から視線を外さずに言った。

「行くか」

「はい」

赤井が廊下歩き始めると、三田村もそれに付いて行った。