「あれから具合はどうだ?」


「はい…大丈夫ですけど」


「寝る時は?苦しくないか?」


「え、はい。大丈夫です…」



ヤケに真剣に聞いてくるから
緊張してしまう…。



「胸の音聴くから、服捲って?」



先生は無言で聴診を始めた。



「うん。大丈夫だな。だけど無理するなよ?」


「はい」


「それと…」



聴診器を外した先生は
机から白いガードらしきものを取りだし、あたしに渡した。


それは
先生の名刺。



「夜中…発作が起きたら俺の携帯か、それがイヤだったら病院に電話して。すぐ対応するから」


「…わかりました」



確かに1人だと不安もあるから
連絡取れるのは嬉しいけど…

でも…なぜ?



「お医者さんって患者にここまでするものなんですか?」



考えるも束の間
思った事を口にしていた。



「いや、これは俺の勝手」



先生は苦笑いを浮かべながら
気まずそうに答えた。



「入院が出来ないし、夜の発作は心配なんだ。1人暮らしなら尚更放っておけない…」



そう言った先生の笑顔が
またツラそうに見えた。


もしかして
あたし…先生をすごく心配させてる?