「落ち着いたか?」



抱き締めたまま尋ね
コクン…と頷いたのを確認すると体を離した。



「点滴の針を抜くから…腕、少し触るけど…いいか?」



1つ1つ聞き
本人の了承を得ながら
処置を進めた。


情緒不安定の為
安定剤の注射をしようかとも思ったんだが、今の彼女に使うのはやめた方が良さそうだ。


薬漬けにしてる様で
気が引けたから。

幸い、先程より落ち着いてきているし…使わずに安定させたい。



「先生…ごめんなさい」


「え?」



点滴を取り替え
時間を確認していたら
咲桜ちゃんに頭を下げられた。



「発作…」



もしかして発作を起こした事に謝ってるのか?



「…気にするな。まだ気分悪いだろ。しばらく寝てろ」



しかし咲桜ちゃんは
無言で首を横に振った。


体はまだツラいはずなのに…
なぜ横にならない?


…もしかして



「俺がいない方が、いいよな…」


「え…?」



それが1番
考えられる。

洋服も着替えたいだろうし。



「部屋…出てくから、なんかあったら呼べ…」