持ってきた鞄から聴診器を取り出す。


咲桜ちゃんが握りしめる手をそッと離し、ボタンを開けようと服に手を伸ばした。



だが
その手を止めてしまった。



「…どうなってんだ」



服はすでに開いていて
ボタンも外れている。


いや…違う。

外されてるのか…?

無理矢理…開けられた?


…誰にだ?




「わかんねぇ…。咲桜ちゃんに何があったんだッ」



いや、ダメだ。
今は先に治療をしないと。
集中しろッ




服を少し開け
聴診器を肌に近付けると…
俺は、ある事に気付いた。




…下着
破られてる?



医者と言えど
年頃の女の子の洋服の中を見る訳にはいかないから、なんとも言えないが…



他にも気になる所がある。


脈を測るのに腕を持った時
手首が赤くなっていた。
それも両方だ。


咲桜ちゃんの左頬も赤い。




まさか…
何かの事件に巻き込まれているのか?


最近元気がなく見えたのは…
間違いではなかった?

彼女はずっと
俺に助けを求めていたんじゃないのか…?



何が
どうなってんだ…