「んん? ちょっと待て。雌舞希が女じゃない? 意味がわからん。キミ、どう見たって女だぞ。ムネあるし、身体の線も。それが女装っつーには、ちょっと無理がある」
「うん。女装なんかじゃないよ。確かに志田が言うとおり、私の外見は、女性的な形をしていると思う。……でもね、それは見た目だけ。私の身体には、女の子として、絶対的に足らないモノがあるの……。ひと言で言うとね、……この身体には、性別ってものが生まれついてなかったんだよ」
「性別が……"ない"?」
「そう……。私の身体は、生まれつき性を区別する器官がなかった。生まれたときから、この身体には、女性器も、男性器も、付いてなかったの。わかりやすく言うと、生殖機能が欠落した、身体障害者……ってことかな。志田、両性具有って知らない? 宗教の教典とかにたまに登場する、男性と女性、両方の特徴を持った人のことなんだけど……。私の場合は、あれの逆。私のお母さんは、このことを自分の胸の内だけに秘めて、私を女として育てることで、隠し通そうって、考えたんだね。きっと。……だから、その想いを名前に刻んだ」
「うん。女装なんかじゃないよ。確かに志田が言うとおり、私の外見は、女性的な形をしていると思う。……でもね、それは見た目だけ。私の身体には、女の子として、絶対的に足らないモノがあるの……。ひと言で言うとね、……この身体には、性別ってものが生まれついてなかったんだよ」
「性別が……"ない"?」
「そう……。私の身体は、生まれつき性を区別する器官がなかった。生まれたときから、この身体には、女性器も、男性器も、付いてなかったの。わかりやすく言うと、生殖機能が欠落した、身体障害者……ってことかな。志田、両性具有って知らない? 宗教の教典とかにたまに登場する、男性と女性、両方の特徴を持った人のことなんだけど……。私の場合は、あれの逆。私のお母さんは、このことを自分の胸の内だけに秘めて、私を女として育てることで、隠し通そうって、考えたんだね。きっと。……だから、その想いを名前に刻んだ」



