無意確認生命体


「ありがと。ふたつ、質問するから、深く考えないで聞いてね」

「んー。うん」


「ひとつめ。――ある日、ドーベルマンとチワワが喧嘩をしてしまいました。さて、勝つのはどっちでしょうか?」


「……え? ……質問って、それ?」

「うん」

「……ふーん。ま、いいや。思いついたままでいいんだよな? ――じゃあ……、どっちも勝たない、かな」

「どうして?」

「飼い主が止めるから。だって、チワワの野良なんて、あんま、いないだろ? 仮に、もしいるにしても、ソイツはひとりで生きる知恵を持ってるはずだよ。ドーベルマンに喧嘩売るなんて、そんな結果の決まってるバカなコトは最初っからしないさ。そんなら、喧嘩を売るとしたら、飼い犬しかないだろ。でも、こっちは勝ち目がないことを飼い主が知ってる。……だから、喧嘩なんか起こらない。どっちも勝たない」


「……ぷ! ……あは、あははは!」


「あれ。今のじゃ、おかしかったか?」

「……う……ううん、いいよ。その調子でもうひとつも答えて」

「なんなんだぁ?」