「……簡単に言えばさ、オレは相手を異性として意識すればするほど、欲情しなくなっちゃうんだよ。……そーゆう欲求から、どんどん離れていくんだ。好きになればなるだけ、ソイツを女としては、見られなくなっていく。でも、そのくせ、ただの性的なラインなら、……そーだな……例えば、豚のケツでも、オレは興奮することがある」
「そんな……」
「――ドラマ、小説、漫画。どれ見たって、好きになった相手には、触れたいって思うのが普通で自然で、重なりたいって思うようになるのが当たり前だけどさ。オレは、違うんだよ。好きになった相手ほど、触れようっていう気が失せるんだ。……な? おかしいだろ? オレの身体はさ、アタマん中じゃやりたくもないって思ってることを、勝手に求めるんだよ。したいことをやろうとすると、かえって苦痛に感じるんだ。アタマじゃイヤな仕事だって、こんなことやりたくねぇって、そう思えることほど、逆に身体は、それを求めちまうんだ。……本当はこんなことがしたいんだって、そう思ってることをしようとすればするほど、逆に身体には、すげーストレスになっちゃうのさ。……ほらな? こんなイカれた奴と付き合ったら、キミはきっと傷つく。さっきも言ったとおり、雌舞希の気持ちは、すげー嬉しいけど……。でも、オレにはどうやったって、自分の意志じゃソレを変えること、出来ないからさ……。もし付き合って、オレが異性としてキミを好きになったとしても、キミの想いに応えられることは、なんにもないから……。だから……」



