「……だいぶ元気になってきたか?」
「なに? それじゃまるで私が元気じゃなかったみたいじゃん」
「だって実際、会ったときはボーッとしてて、元気じゃなかった。――なぁ。ほんとのトコ、何してたんだ?」
「……え?」
「雨んなか、学校来て、3時間もあんなトコにいた理由」
「……それ、さっき言った。志田を待ってたって」
「なんで?」
「な、なんでって……」
「だって、雨降ってたら、部活なんかやらないぞ。オレが来たかどうかとか、そんなこと以前に、雌舞希があの時間に学校来る理由がない」
「……それこそなんでだよ。……部活やらなかったら、私は休みの日、学校来たらいけないの?」
「うえっ? そーゆうふうに取るか? そうじゃないよ。わざわざ学校で待ってたのがわからんって言ってる」
「私だってわかんないよそんなの! ここで志田と会いたいって思ったら、気付いたら足が勝手に動いちゃってたんだもん! なんでさっきから私の言うことやること否定するようなことばっかり言うの!?」
「し、雌舞希?」
「なんで……? 私はただ、あんたと、楽しく話したかっただけなのに……! なんでこんなイヤな気持ちになるの? なんで私は、こんなに志田に苛ついてるの……?」
「……どうしたんだよ。なに怒ってるんだ?」
「知らないよ……。わかんないんだもん。志田が私のこと、否定するのが悲しくて。イライラして。……自分でも説明できないよ」



