「あ、しまった。飲みもんひとつしか買ってなかった」
「え、いいよ。そこまで気、回してくれなくても」
「うーん。半分ずつ飲むか?」
「いッ、いいってば!」
「なんで?ノド、乾いてないか?」
「そりゃ……乾いてないかって言われたら、乾いてるけど」
「ん? ――あ。もしかして雌舞希、回し飲みとかってするの、イヤなのか?」
「や、だからそういうコトじゃなくてぇ……」
「ん?」
「……はぁ。もういい」
「――ぷっ」
「あ! 今、笑った!」
「……いや、だって……。雌舞希、顔まっかなんだもん」
「うえっ?」
「そんなヤなもんなの? オレ、そーゆうの全然気になんないから、わかんないんだけど」
「ち、違うよ! ヒトを潔癖性みたいに! もうそれはいいから! もらうって言ってんじゃん!」
「ん。わかった。じゃあ先飲むといい。オレの後よりその方がいいだろ?」
「……そうじゃない……。わかってないじゃん。……ばか」



