……わかってる。
本当は心のどこかで、そんなのとっくに気付いてた。
産まれてきた子供が、「私」だったからだ!
ただひとり、誰の手も借りず、夫にさえ頼らずに自分以外の者を育児から距離を置かせたのも。
自分の夜の営みを我が子に見せようなんて、狂った行動をとったのも。
口癖のように、私に「危機感を持ち続けろ」と謳い続けたのも。
お母さんの、その後の人生もろとも狂わせてしまったのも。
お母さんの子供が、他の誰でもない、この、出来損ないの「私」だったからなんだ!
育児ノイローゼ?
ちがう!
そんなんじゃなかったんだ!
お母さんだって、もし、私みたいな欠陥品じゃなく、もっとまともな子供が産まれていたのなら、あんなふうにはならなかったはずなんだ!
あんなふうに、人生が狂ってしまうことはなかったんだ!



