「そ……それじゃ、答えになってないよ。どうしてわざわざ、この家に寄っていくの? 病院から、直接帰ってもらったらよかったじゃん。……私と、約束……したのに……」
私はすでに目の前の恐怖に呑まれてしまって、完全に冷静さを失っていた。
目からは今日もう何回目だかわからない、熱い雫がこぼれ落ちてきて、身体はもう抑えても震えが止まってくれなかった。
「しぃちゃん、落ち着いて。泣かなくても、大丈夫だから……」
そう言って、おばぁは私の肩に手を掛けてくれた。
そして、お父さんと向き合って座っているおじぃが私に振り返り、おばぁの代わりに、
「しぃちゃん、すまんかったなぁ。毎年ぃ、6月4日のお見舞いの帰りぃにゃ、コイツ、うちに寄らせてたんだ。そんでぇ、今日は丁度、しぃちゃんが早退けしてくるってぇ電話がぁあったから、話しぃ合えるいい機会だと思って、オレが宗八に待ってるように言ったんだよ」
私との約束は、私が見ていないところでとっくに破られていたことを教えてくれた。
私はすでに目の前の恐怖に呑まれてしまって、完全に冷静さを失っていた。
目からは今日もう何回目だかわからない、熱い雫がこぼれ落ちてきて、身体はもう抑えても震えが止まってくれなかった。
「しぃちゃん、落ち着いて。泣かなくても、大丈夫だから……」
そう言って、おばぁは私の肩に手を掛けてくれた。
そして、お父さんと向き合って座っているおじぃが私に振り返り、おばぁの代わりに、
「しぃちゃん、すまんかったなぁ。毎年ぃ、6月4日のお見舞いの帰りぃにゃ、コイツ、うちに寄らせてたんだ。そんでぇ、今日は丁度、しぃちゃんが早退けしてくるってぇ電話がぁあったから、話しぃ合えるいい機会だと思って、オレが宗八に待ってるように言ったんだよ」
私との約束は、私が見ていないところでとっくに破られていたことを教えてくれた。



