無意確認生命体


いや……、正確にはこれは、『死』とは呼ばないのだろう。

だけれども、幼かった私には、「母が死んだ」と、そういうふうに感じられたのだ。

母は、粗相で濡れた私のパジャマを見た瞬間……、壊れてしまったのだった。



その日から母の異常に父が気付くまでの数日のあいだ、私は母から身体に直接「教育」を受け続けた。

朝、父が家を出るとその「教育」は始まった。

私が他人より如何に劣った存在か……。

それまでどれだけ母の恩情の元で危機感のない振る舞いをしてきていたのか……。

この身体に、徹底的に刻み込まれていったのだ。