無意確認生命体


私はこの自信過剰が招いた情けない結果にがっくりと肩を落としつつ花壇に向かった。

すると志田は花壇のフチに座り込み、いつものボケッとした顔で出迎えてくれるのだった。

ヒトが落ち込んでるってのに、どこまでもいつも通りの志田に私は腹が立ち、(自分でも理不尽だったとは思っているが)今日のテストの結果を問いただした。

それに志田はひょうひょうと語った。

「あー、うん。オレ、人の名前は覚えないけど、暗記とかは得意でさ。日本史は上々。保体は――アレ、やる意味あんのか? 一学期にやってた競技のルールとか埋めるだけじゃん。保健だって、一般常識レベルだし。リスニングは、ただテープの質問に答えるだけだろ? なんつーか、あーいうのってホントにこれから役に立つんかね?」


……"だけ"?

私があれだけパニくり、悩んでなんとか埋めきったテストを、"だけ"扱いですか!


私は目の前の無礼者に向かって、自家製弁当&当日テスト教科書群入りの、中々の重量を誇るバッグを叩き付けてやった。

(重ねていうが、理不尽だったとは自覚している)

しかし、それでも志田はケロッとした顔で、

「キミって時々、ツジより凶暴だよな」

なんて失礼極まりないことを言いやがった。

さらにおまけに、せっかく早起きしてこしらえた私の手製の弁当は、志田に叩き付けてしまったせいで蓋を開けてみると中身がグチャグチャになってしまっていた。