「ねぇ、邪魔なんだけど?」


「そこにいないでよ。目障り。」


トイレに行っただけでそんなこと言われないといけないの?


私は無言でトイレから出る。


「あー、もう喋れなくなっちゃったんだっけ?でもさ、それってうちらのせいじゃないよね?自業自得じゃん?」


私は何も言わずにトイレを飛び出して屋上に走った。


扉をガンッと開くとその場に崩れ落ちた。


どうして?


なんで、私がこんな目に合うの?


なんでよ。


私はただ、・・・・・・・・友達を助けただけなのに。


工藤仁華(くどうにか)、高校2年生。


私がいじめられるようになったのは高校1年生の冬。


隣の席の女の子がいじめられていて、それを止めに入ったら逆に私がいじめられるという始末。



助けた女の子だって今では私をいじめる立場。


人なんて簡単に助けるもんじゃない。


私はいじめにも耐えていた。


親にも言わなかった。


でも、


高校2年生の春。


刃物を向けられた。