お狐様と妖怪事件簿








「ありがとな、浅葱。」







「なんの!銀ちゃんに春が訪れたんだからそれくらい気になさんな!」








「うっせぇ…」









銀河に春?







余計に分からん…








「そうだ、銀ちゃん、あの方のとこに挨拶には行ったんかい?」







「あー、まだだわ…」







あの方…?








「気をつけんしゃいよ。せっかくできた銀ちゃんの 番(つがい)あの方に寝取られたなんて聞きたかないよ。」







「わーってるって…」







番って!///







寝盗られるって…








そこまで私は軽い女じゃないわ…








『誰があんな奴に銀花のことやるか』







「へっ?…銀河?なんか言った?」







「は?別になんも言ってねーけど?」







いや、確かに今の声は銀河の声だった…






「はははっこのタイミングで開花したか!嬢ちゃん頑張れよ!」





「「開花した?」」





はっ!銀河とハモってしまった…






「やー、嬢ちゃんの悟としての才能さ…」







「私…」






「大丈夫。自分を信じてみんしゃい。」






自分を信じる…







「じゃ、俺らは帰るわ…ありがとな浅葱。」







「また来んしゃい。」







……………………………………








「さて、あの子はどんな道を歩むかの…」






ははははは…






店の中に浅葱の笑い声が響いた