しばらく待っているとさっきの少女が両手に何かを抱えてやってきた。


「入って」


そう言い、門の鍵を開けてくれる。


中へ入って渡されたのは女性用の服とロングヘアーのカツラだった。


それを見た俺は目を丸くして少女を見る。


「メークはあたしがしてあげる。きっと可愛くなるよ」


はしゃいだような声に「おい、俺は着せ替え人形じゃないんだぞ」と、止めに入る。


「この屋敷内には女性しかいないんだよ? すぐにバレて捕まるよ?」


少女にそう言われると、俺はグッと返事に困ってしまった。


女装して入れば紛れ込むのはきっと簡単だろう。


だけど……。


「みんなを助けたいんだよね?」


少女が少しだけ曇った瞳でそう聞いて来た。