季節は秋だった。

塾に入るとすぐに,今学校でやっていることは理解できるようになった。

所詮一年生,理解できれば割りと簡単なことしかやってなかった。

塾に行く前は定期テストはほぼ点数がなかったが,後期中間試験で平均点程度は取れた。

さっそく勉強した効果が出て喜んだ。しかし,まだ平均点だ。

今の授業は理解できても,さぼっていた期間の内容が理解できていないため,高得点にはまだ手が届かなかった。

週一回の授業では勉強が足りないと思った。

塾では,授業のないときでも自習室スペースを使って自由に勉強することができる。

俺は行けるときはできるだけそこに行くことにした。

宿題や自分の足りてない勉強をそこでして,分からないことがあれば塾の先生に聞いたりもした。

プリントなどただでもらえた。

少しづつ勉強が理解できて,自信がついてきた。

しかし,1年最後の期末試験でその自信は砕かれる。

大きく点数アップしたかったのに,前回のテストから点数が上がってないのだ。

あんなに自習室にも通ったのに。

誰よりも勉強したつもりだった。

今なら,そんな簡単に成績が上がれば苦労しねーよと思えるが,当時は本当にショックだった。

勉強を人より頑張っても人並みの点数しか取れない。

バスケなんて,最初から人よりできた。

それならもう勉強はそこそこで,バスケに集中しようかとも思った。

しかし,いくら世間知らずな中学生の俺でも,バスケで食っていくことは無理だってことくらいわかる。

身長だってまだ160くらいしかない。

将来家族を養うためには今,勉強を頑張ることが必要なのだ。

そうして,迎えた二年生。俺はどうしたらいいのかわからないまま,しかし塾を辞める決意もつかず今までと同じ日々を送っていた。