今までの実験体は、
産まれたときに受ける適合検査の結果で
選ばれた人間がなるものだった。
しかし、室長から気に入られている朔夜は
実験体になる素質も 十分に持ち合わせている。
もし逃げる少女を保護したとしても、
次の研究に朔夜が選ばれてしまうなら
自分で自分の首を絞めるだけだ。
「弥生、体調でも悪いか。」
「あ…、ごめんなさい。考え事をしてた。」
「そうか。」
朔夜は、それ以上何も聞いてこなかった。
きっと気付いているのだろうけれど。
対策だって、一つくらいはあるだろう。
朔夜のやり方に任せるのが最善だ。
「ひとまず、寺に向かう。」
「あそこの森林は涼しいっスもんね。」
「それぞれ準備が整ったら俺に話しかけろ。」
「うお!RPGにありそうな台詞っスね!」
「いいから早く準備してこい。」
「はーい!」
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