5月中旬、地下研究施設。 実験室から抜け出す、一人の少女がいた。 壁をよじ登り、走り続ける。 時折 足を止めて振り返るのは、 追う者がいるからだ。 「待ちなさい!」 「くそ、なんて速さだ…!」 研究員は次々に息を切らして座り込む。 進化の一歩先を行く少女を捕らえるなんて 普通の人間には到底無理な話だ。 とうとう、少女の姿は見えなくなった。 「アレを野放しには出来ないだろう。」 「室長に報告しなければ…。」 .