『あんたさ、バカじゃないの?』

ひとしきり私の話を聴き終えたところで、
まぁちゃんはあきれたようにそう言った。

「ぶぅぶぅ。バカ言わないでよ」

『だってバカだもん』

うう。
そりゃあバカだって自覚してるけどさー。

バカも連発されるとそれなりに傷つくんだからねー。

ん?

ウソウソ。

そんなことで傷ついてたらキリないもーん。

へへ。


『だいたいさ、
 名前のまんまの優しい旦那に
 なんの不満があってフラフラしてる訳?』

「優しいだけじゃつまんないんだよねー」

『はぁー』

うっわお!

心の中で鼻ホジホジしてるところに
冷や水を浴びせるような、まぁちゃんのため息。

『私さ、忙しいんだよね』

言ってるそばから、
まぁちゃんの娘ちゃんがギャン泣きしてるのが聞こえてきた。

『はいはいはいはい、ちょっと待ってね~。
 ……スーパー暇な子なし専業主婦の戯言(ざれごと)を
 きくほど暇じゃないんだよね、私。
 もう切るね』

娘ちゃんに話しかける優しいママの声色から一転、
つれない声でそう告げると電話を切った。


あーあ、つまんないの~。