「ねえな。先のことなんて、考えたことない」
津崎の返事はシンプルだった。そして空を仰ぎながら続きを言う。
「そもそも明日が来る保証もないのに、未来のことを考えるなんて能天気で羨ましいなって思うよ」
トゲがある言い返しが気になったけれど、引っ掛かったのはそこじゃない。
「明日が来る保証もないって……なにそれ、どういう意味?」
自然と眉間に力が入る。
「ヘンなこととか、考えてないよね……?」
私は津崎に詰め寄るようにして聞いていた。
――『健太は死んだんだよ、皐月。自分で海に飛び込んで、命を絶った。それが残された俺たちに突きつけられた現実だろ』
あの夜、哲平に言われたことがぐるぐると頭の中を掻き乱して気持ち悪い。
だけど、そんな私の不安を取り払うように、隣にいる津崎は表情も口調もいつもどおりだった。
「は?ヘンなのはお前だろ」
だって、あの日のことを連想させるようなことを言うから。まだ心臓はドクンドクンとうるさくて、胸騒ぎがとまらない。
私は過去を変えるために、未来から来た。津崎を救えるのならどんなことでもする。
でも、もし変えることができなかったら?
また同じことの繰り返しになったら、私はどうすればいい?



