津崎は口は悪くて乱暴だけど、人を傷つけることはしない。喧嘩だって相手が一方的に文句を言ってくることがほとんどで、自分から争いごとをしたりはしない。
それでも津崎が浮いて見えてしまうのは、この島ののんびりとした時間の流れに合っていないから。
きっと、私もそうだった。だから私たちは似ていた。
物思いにふけるように夜の海へといき、消化できないものを波にのせて、そしてまた自分の元へと帰ってくる。16歳の私はそんな毎日の繰り返しだった。
「ずいぶん知ったように言うんだな」
「え?」
「俺のこと」
知ってるよ。
知らないことなんて、ないと思ってた。
そのぐらい私たちは近い関係だった。だけど、津崎の言うとおり私が知ったように感じていただけだったのかもしれない。
きみのいない未来で私が知ったのは、自分の無力さだけだった。
「……津崎は大人になったら、どんなことがしてみたい?」
気づくと私はそんなことを聞いていた。
「島を出たいとか東京に住みたいとか、そういうのある?」
私と同じ年齢になった津崎を何度も想像した。
仕事帰りにみんなで集まってビールで乾杯したあとに、島で過ごした日々を懐かしそうに語り合う。
あんなこともあった、こんなこともあった、って真っ赤な顔をしながら笑い合って、歳を重ねていく。
そんな夢みたいな未来を、どれほど思い描いたか数えきれない。



