ばいばい、津崎。



草原の上には電力風車がたくさん建てられていて、高さは約107メートル。白い3つのプロペラが風でゆっくりと回っていて、島の大半の電気をここでおこしている。


私たちは自転車を降りて、ちょうど椅子のようになっている大きな平たい石の上に座った。

さっきまで海岸沿いを走っていたのに、今は海がこんなに遠くに見えて果てしないほど青い色を見下ろしている。

空に流れる雲が近く感じて、今なら手が届きそう。


隣を見ると、津崎も空を見上げていた。

私は津崎といるとすごく落ち着く。津崎が作り出す空気感とか、沈黙でも何故か苦痛にはならないところとか。歳を重ねてたくさんの人と出逢ってきたけれど、津崎以上の人なんていなかった。


そうやって、私は自然と比べてしまっていた。

津崎は天秤にかけられることを嫌がるだろうけど、それだけつねに私の心の中心にいるってこと。


「子猫、助けたんだってね」

息をはくように静かに問いかけた。


「……そんな古い話、忘れたよ」

不器用な言葉にクスリと笑みがこぼれる。


「津崎ってそういうとこあるよね。見えないところですごい良いことしてたりするの」