ばいばい、津崎。



その間にも津崎の足音は響いていて、ついに私の横まで来た。津崎は私を見下ろすように見つめていて、ゴクリとジュースをひと口飲む。


「ダサ」

女の子が転んだっていうのに、津崎の冷たい言葉。


「助けてよ」

サンダルが車両のヘンな隙間に挟まって取れない。

せっかく津崎と会えたのに最悪だ。バランスを崩してしまうほど慌ててしまうなんて恥ずかしい。


「……たく。しょーがねーな」

津崎は面倒くさいって顔をしながらも、片手で軽々しく自転車を持ち上げてくれて、その反動で挟まっていたサンダルも抜けた。

ガシャンと、自転車を元の位置に戻してくれた津崎はまたホワイトソーダを余裕な顔をして飲んだ。


私は「ありがとう」とお礼を言いながら体についた汚れを手ではらう。

恥ずかしい場面を見せてしまったけど、まっすぐに家に帰らなくてよかった。


「津崎はなにしてたの?」

このまま「じゃあ」と言われないように話を繋げる。


「んーべつに。暇だから散歩。でもくそ暑いから帰ろうかなって」

帰られたら非常に困る。私はなんとか津崎と一緒にいられる方法を考えたけど、頭上でさんさんと照りつける太陽のせいで頭が回らない。


「……さ、散歩!私も散歩したいから付き合ってよ!」

かなり不自然な誘い方だけど、どうせ津崎にはヘンなヤツだと思われてるんだし。

断られてもしつこく言う覚悟はしていた。だけど返ってきた言葉は以外なものだった。


「じゃあ、俺、後ろな」

そう言ってホワイトソーダを一気飲みしたあと、側にあったゴミ箱へと投げ捨てる。そして津崎は私の自転車へと股がった。


「え?」と、戸惑っていると「暑いから早くしろ」とサドルを指さされて、つまり私に漕げということなのだろう。

まさか、こんな展開になるとは思ってなかった。