ばいばい、津崎。



哲平と別れたあと、私はまっすぐ家には帰らずに遠回りして自転車を走らせていた。

海岸沿いを見つめながら、潮風が頬に当たって気持ちいい。私は自然といつもの場所を目指していた。


清々しいほど青い海へと伸びるコンクリートの長い道。私は防波堤が見えてきたところで自転車を停めた。

その先端に津崎が座っているわけもなく、いるのは空を優雅に飛んでいるカモメの群れだけ。


……なんだか、無性に津崎に会いたい。

家を訪ねてみようか。でもいきなりだと迷惑だし、メールを送ったほうがいいかもしれない。

自転車に股がったまま携帯を開いて新規メールを立ち上げようとした時、波の音と交互に聞こえた足音。

ザッザッと、地面を擦るような歩き方はすごく特徴がある。慌てて振り向くと、後方から津崎がこちらに向かって歩いてきて、その手にはホワイトソーダの缶を持っていた。


「つ、津崎っ……!」


――ガシャンッ!

嬉しくて慌てて自転車を降りようとしたら、バランスを崩してその場に転倒してしまった。


「いたたた……」

下半身が自転車の下敷きになっていて、かなり恥ずかしい体勢になっている。