ばいばい、津崎。



学校は家から自転車で10分の距離。

私は玄関の靴箱の上に置いてある自転車の鍵にも自然と手を伸ばして、頭は26歳なのに身体や感覚は16歳の私だから、どっちが現実で、どっちが夢だったのか分からなくなる。

それでも私はこうして学校への道のりを自転車で走り、海風を全身で感じている。



――ここは瀬戸内海に浮かぶ島。

人口は約三万人。県庁所在地であるT市から北東沖に20km。トンネルや架橋の建設が進んでいないため船でしか渡ることのできずに、発着するフェリーも、午前と午後合わせて二回だけ。

そんな狭くて小さな離島が、私は嫌いだった。

それなのに、自転車で通りすぎる町並みを見て鼻の奥がツンとする。


これが、夢ではないのなら。理屈も根拠もないけれど、もしも、漫画やアニメの世界のように10年前にトリップしてしまったとしたら――。


もう二度と会えないと嘆き続けていた津崎がいる。

考えただけで、ペダルを漕ぐスピードが速くなって、目の奥が熱くなっていく感覚がした。