哲平を恋愛対象として見られないって意味と、友達関係を崩したくないって意味と、もうひとつ。
真っ先に私の頭には津崎のことが浮かんだからだった。
それでも、哲平は折れてくれなかった。『だったら、お互い30歳になっても独身でいたら考えてよ』と言われて、そのあとは何事もなかったようにみんなでボーリングを楽しんだ。
哲平も酔っていたし、きっと雰囲気に流されておかしなことを言ってきただけだと真に受けなかったけれど、なんとなくそれ以降から会いにくくなって、気づけば3年の月日が経っていた。
「あと4年だけど、ちゃんと真剣に考えてよ」
だけど、そんな時間なんてなかったみたいに哲平の瞳が変わってないから、私は動揺するばかり。
「……彼女ぐらい、哲平だっているでしょ」
そのルックスだし、おまけにIT関係の会社に勤めていて仕事も安泰。高学歴、高収入、高身長。こんなスペックをもった男を周りの人が放っておくはずがない。
「でも俺、結婚したい人としか付き合いたくないから」
……哲平って、こんなにまっすぐに気持ちを伝えてくる人だったっけ。大人になって性格が変わったのではなく、私がそうさせている気がした。
「……私がずっとひとりだから、可哀想って思ってるんでしょ?」
いつまでも過去に引きずられ続けている私を美貴や剛ももて余す日がくる。みんな家庭を持って自分の生活があるから、私を面倒だと見切る時がくるかもしれない。
だから、俺が皐月をなんとかしないとって正義感のようなものが、哲平に芽生えてしまったのなら、本当に申し訳なくて顔も上げられない。



