ばいばい、津崎。



「……あの日のこと、まだ冗談だって思ってる?」


〝あの日〟とは、哲平に会った最後の夜のこと。みんなでご飯を食べ終わって、二次会にボーリングでも行こうという話になり、歩いていた時。

自然と剛と美貴が前を歩いて、私と哲平はその後ろで肩を並べていた。


相当酔っぱらっていたし、哲平とどんな話をしながら歩いていたか覚えてないけれど、とにかくあの日はみんな普段よりテンションが上がっていた。

そんな上機嫌の私の腕を哲平が突然掴んで、『――俺たち、付き合わない?』と、なんの予兆もなく言ってきたのだ。


前を歩くふたりは私たちに気づいていなくて、どんどん距離が広がる中で私は『冗談やめてよー』なんて言いながら、ケラケラと笑っていた。

そしたら、掴んでいた手をさらにぎゅっとされて、哲平は真剣な顔で『本気。ていうか、皐月のことずっと好きだった』と、言った。


頭が真っ白になった感覚だけは鮮明に覚えている。また笑って誤魔化そうとしたけれど、空気的に違うと判断した私はそっと哲平の手を剥がした。

そして『無理だよ』と、私の返事はシンプルだった。