ばいばい、津崎。



長年の付き合いで味の好みも知り尽くしているのか、食べたいお弁当がかぶることはなく、私はトマトの煮込みハンバーグや野沢菜が入った彩り弁当を選んだ。

美貴は30品の食材が盛り込まれたバランス弁当。哲平は甘辛の牛肉弁当。そして剛は……。


「なんで鯖寿司?」

銀色に輝くお寿司が入れ物にぎっしり入っている。


「好きなんだからいいだろ!」

べつに鯖寿司を否定してるわけじゃなく、私も大好きだけどみんながお弁当の中でひとりだけ鯖寿司を食べてるから、それがなんだか可笑しい。

クスクスと笑いながら、私たちは目的地まで話が尽きることはなく、ずっと喋っていた。


そして私たちはT駅に到着して、そこから無料送迎バスに乗り換えてフェリー乗り場まで向かう。距離にして4kmほどなので所要時間はおよそ5分。

さらに9時55分のフェリーに間に合うことができて、みんなで船に乗った。

一時間ほどの船旅を外のデッキで過ごして、見えてきたのは故郷の島。


8月も最終日なので、降りた乗客は私たちを含めて数えるほどしかいなかった。一歩、地面に足をつけると、ふわりと潮風が歓迎してくれて、心が緩む。


「皐月ー。みんな最初に実家に寄ってから集まろうって。荷物もあるしさ」と、美貴。 

「うん。じゃあ、またあとで」と、それぞれが東京のお土産を抱えて、私も家へと歩き出した。