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「皐月ー!」
セミの鳴き声もひとつ、またひとつと消えて、明日から新しい月になろうとする8月31日。私は東京駅にいた。
すでに到着していた美貴が手を振っていて、昨晩電話で羽菜は旦那さんに見てもらうと言っていたので、今日は独身時代のように巻き髪でヒールの高いサンダルを履いていた。
「ごめん。遅くなって。あれ、剛と哲平は?」
「なんか新幹線で食べるお弁当買ってくるって。あ、ほら、戻ってきたよ!」
美貴が指さす方向には、「おーい」とビニール袋を持った剛と哲平の姿。
「腹減ると思って適当に買ってきた。哲平のおごりで」と、剛は白い歯を見せる。
「ありがとう」とお礼を言うと、哲平は「いいよ。そろそろ時間だから中に入ろうと」と、私たちは改札口へと向かうことにした。
こうして四人で同じ空間に集まるのは本当に久しぶりだ。やっぱり私はこの雰囲気がとても落ち着くのだ。
そして新幹線の時間になり、ここからT市まで目指す。指定席へと座り、入り口に近い場所で通路を挟んだ横並びにふた席ずつ。右側に哲平と剛。左側に私と美貴。
車内アナウンスが流れたあと、前後のドアが閉まった。新幹線が発車した途端、剛はもう待ちきれないと先ほど買ったお弁当を広げる。



