ばいばい、津崎。



私は女の子を腕を掴みながら、席へと座らせる。すると次は隣に座っていた女性が「まだ飲んでないから」とペットボトルの水をあげ、「これ良かったら」と別の人が飴をあげた。


「大丈夫?」「吐きたかったらビニール袋あるからね」

優しさが次から次へと伝染して、女の子は「ありがとうございます」と何度も頭を下げて無事に降りる駅へとたどり着つことができた。


なんだか、捨てたもんじゃないなって思った。

誰かに頼ること、弱さを見せることは恥ずかしいことじゃないんだって、トリップする前の私に教えてあげたくなった。


そして、私は新宿で降りて、改札口を抜けた。空を見るととても清々しい青空だった。



ねえ、津崎。

きみのいない10回目の夏に戻ってきたよ。


寂しさはあるけれど、胸が詰まるような息苦しさはない。


人の優しさがある世界で、私は今日も生きてるよ。背筋を伸ばして、ちゃんと生きてる。

津崎の言っていたとおり、つまらない大人にならないために、これからたくさんのことを見つけていこうと思う。