と、その時。目の前にいた高校生の女の子が突然、床へとしゃがみこむ。どうやら気分が悪いようだ。
「大丈夫ですか?」
私はすぐにカバンからハンカチを取り出す。「使ってください」と差し出すと女の子が青い顔をしながら小さく頭を下げて、ハンカチを口元に当てた。
「気持ち悪い?朝ご飯は食べました?」
私が背中を擦ると首を横に振って「……カフェオレだけ」と、か細い声で応える。
まるで、トリップする前の自分を見てる気分だった。
夏という季節だけで気が滅入って、眠れないことを理由に毎日海外ドラマのDVDを朝方まで見たあと、浅い眠りについて、甘いカフェオレを朝ごはん代わりに仕事へと出勤する。
どうせ迷惑がられるだけだからと、気持ち悪さを我慢して、私は結局そのあと倒れてしまった。
「どこの駅で降りるの?」と、私が問いけていると、「あの……」と誰かから声をかけられた。それは眼鏡をかけたスーツ姿の男性。
「もし良かったら、座ってください」と、ひとつだけ空席になってる箇所を指さす。満員電車ではいかに早く自分の席を確保するかが勝負なのに、おそらくこの女の子のために譲ってくれたのだろう。



