津崎が島に帰ってきたのは、灯籠祭りの前日だった。心配でずっと心ここにあらずだった私は剛からのメールで、やっと息が吸えた感覚がした。


【やっぱり旅行だったらしいよ。遠くに住んでるおばあちゃんのところに行ってたって。ちなみに土産はないってさ】

……旅行?おばあちゃんの家?本当に?
まだ疑う気持ちが強い。

続けてピロンと受信音が鳴り、まだ返信をしていないのに剛から二通目のメールが届いていた。


【明日は健も祭りに行くって】

そのたった一行の文章を、私は何度も読んだ。


明日津崎にやっと会える。色々と聞きたいことは山ほどあるけれど、まずは顔を見て安心したい。

津崎が帰ってきたことは剛経由でみんなに伝わり、すぐに美貴から電話がかかってきた。

『良かったねー』と、最近暗い顔ばかりをしていた私を労う言葉からはじまり『久しぶりに会うんだから、皐月も浴衣を着て可愛くしていこうね』と、言われた。


津崎が不在の中、お祭りに行くかどうか悩んでいたけれど、明日がこんなに早くきてほしいと願ったことはない。

美貴との電話は寝る直前まで続き、そして一夜が明けた。