「3人は先に海で遊んでていいよ」
私は砂が侵入しまくっているサンダルを脱いで裸足になった。
「えー皐月は?」と、剛が必死で空気を入れたイルカをまるで自分のもののように抱き上げている美貴。
「私は不機嫌なアイツをどうにかしてくるよ」
そう言ってビーチパラソルの下でずっと寝そべっている津崎を指さした。
もちろん津崎は水着など着ていなくてラフな洋服のまま。朝早く無理やり美貴に叩き起こされて、ここまで連行されたため、全然乗り気ではない。
「ってか、枕にしてんの私のカバンなんだけど」
津崎が仰向けになっている場所にはレジャーシートが敷かれていて、頭上には赤と青のストライプ柄のビーチパラソル。
海の家で貸し出されているもので、料金は1日500円。哲平がうまく取り付けてくれて砂にしっかりと固定されている。
津崎はチラッと私のほうを見て、わざと背を向けるように寝返りをした。
「潰れちゃう」と大袈裟に訴えたけれど、布生地の安いトートバッグは形崩れの心配はなく、潰れて困るものも残念ながら入っていない。
「硬さがちょうどいいんだよ」
「まあ、体を拭く用にタオルが入ってるからね」
私は仕方なくカバンを奪い取ることは諦めて、津崎の隣に腰を下ろした。



