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それから数日が経って、私は白浜のビーチにいた。
一応日焼け止めは塗りまくってきたけれど、今日も相変わらずの猛暑日。
観光客も訪れるこの場所は小さな海の家もあり、焼きそばのいい匂いが漂っていた。
「ってか、そんな大きいイルカいる?」
私は頑張って空気を入れ続けている剛を見た。
その手には全長130cm以上はある水色の浮き輪。ぺちゃんこになってカバンに入れられていたイルカはみるみる膨らんでかなりの存在感になっている。
「いや、海といえばこれだろ?」
剛はインドア派だと思っていたのに、どうやらかなり張り切るタイプだったらしい。
「また酸欠で倒れても知らないよ」
「じゃあ、手伝って」
「ムリ」
そんなやり取りをしてると哲平と美貴が戻ってきて、きんきんに冷えたラムネの瓶を買ってきてくれた。
「はい」と哲平に渡されて私は「ありがとう」と受け取る。
剛と美貴と哲平はすでに水着に着替えていて、私もタンキニといわれるお腹が隠れる花柄のワンピースを着ているけど、まだパーカーを羽織ったまま。
スタイルのいい美貴は派手なビキニの水着で剛に「イルカまだあ?」と催促している。
どうしてみんなで海にいるのかというと、きっかけはあのマラソン大会。
団結力のようなものが生まれて以来、学校でもよく集まって話すようになり、美貴が『せっかくだからみんなで遊びにいこうよ!』と言ったのがはじまり。
フェリーに乗って遠出するのもお金がかかるしと、近場で遊べる白浜のビーチに来たというわけだ。



