「じゃあ、さっさと行こうぜ」
津崎は再び歩き出す。それに続くように「私たちも行こう……!」とみんな立ち上がった。
そして走るとはいえないほどのスピードだったけれど、剛を励ましながらなんとか全員でゴールをすることができて、タイムは平均の3分前。
「ギリギリセーフ……っ!!」
私と美貴と剛と哲平の声が重なり、くたくたのはずなのにみんなで笑ってしまった。
参加賞として配られたペットボトルの水を一気飲みしたあと、私は津崎の姿を探す。
津崎は生徒たちから離れた場所にある木陰に座っていた。
「ありがとう」
私は津崎のぶんの水を差し出す。
「なんでお前が感謝すんの?」
木にもたれるようにあぐらをかいている津崎は水を受け取って、ゴクゴクと喉を鳴らすように半分以上飲んだ。
「みんな笑ってゴールできたから」
10年前とは違う結末。
剛もきっと自信になったと思う。みんなに肩を借りることなく苦手なマラソンを走りきったことを。
「お節介ばばあ」
津崎にまた皮肉を言われたけれど、そこに悪意のトゲはない。



