ばいばい、津崎。



土曜日の出来事もそうだ。

私は哲平の家に子猫を見にいかなかったし、津崎と電力風車がある場所で話もしなかった。


少しずつ違う私の知っている過去の記憶。

忘れている部分はあると思うけれど、私が経験した出来事をすべてなぞっているわけではないらしい。

と、なると、もしかしてこれから起きることも私の知っているものとは違うことになる可能性もあるのだろうか?


「ねえ、どうする?やっぱり先生を呼びに行ったほうがいいよね?」

美貴の問いかけに私はハッと我に返った。

今はそれを考えてる場合じゃない。剛のことをなんとかしなくちゃ……。


「なに、そいつ倒れたの?」

津崎が私たちの様子を見て状況を察したようだ。


「う、うん。リタイアだけはしたくないって。ここまで頑張ったんだし、みんなでどうしようか話してたところ」

やっぱり剛が回復するのを待つしかないかもしれない。過去のように時間切れになってしまうけどそれしか方法が……。


「じゃあ、置いてけば」

この暑さとは不釣り合いな津崎の冷めた言葉。一瞬だけ氷点下になったかのようにみんなの表情が固まる。