ばいばい、津崎。



そんな悔しがる剛を見ながら、私たちはどうしようと立ち尽くすだけ。

10年前は結局、走り出すまでにかなりの時間がかかり、みんなでゴールした時には平均タイムを大幅に越えて時間切れになってしまった。

そのあと哲平が事情を先生たちに説明して『それなら仕方ない』と無事にゴール扱いになった。

それでも『自分のせいでみんなを巻き込んだ』と、剛はかなり落ち込んでしまったけれど。


もし、変えることができるなら、せめて剛も笑顔でいられるように終わりたい。

でも、どうやって?


――と、その時。私の耳にザッザッと地面を擦るような足音が聞こえてきた。

この音は……。すぐに振り向くとそこにいたのは津崎。


「お前ら、なにしてんの?」

どうやら津崎はスタート時と変わらないスピードで、歩いてここまで来たようだ。必死に走った私たちとは違い、清々しい顔をしていた。


「た、剛が……」

助けを求めるように私は声を出す。だけど頭の中にすぐ〝ある疑問〟が浮かんだ。

10年前は津崎はこうして現れなかった。