夏祭り行くよ
その時にもう一度
ちゃんと話をしよう
そのあと、昼に念願のタコライスをごちそうになって律の家を出たのは、ちょうど13時頃だった。
律の家を出ると、近くには観光客が集まる賑やかなサンセットビーチがある。
「おー。今日もでーじおるねえー」
オレはサンセットビーチを眺めながら自転車を走らせた。
白浜のあちらこちらにカラフルなパラソルが開いていて、にぎやかだ。
スイカ割りをしたりバーベキューを楽しむ家族連れや、砂に足を取られながらおいかけっこをしている若いカップルやら。
7月下旬から9月上旬くらいまで、この周辺は観光客でにぎわっている。
昨日よりも良く晴れて暑すぎる昼下がり。
今日は風もなくて、海沿いの道は目を開けていられないほどの陽射しが降り注いで、眩しい。
それから15分ほど自転車を走らせると、ようやく集落のバス停とデイゴの大木が見えてきた。
ペダルをぐんと踏み込み、集落の方へ角を曲がろうとしたけど、
「ん?」
オレはそのまま直進しバス停の前で自転車を停めた。
与那星浜の方向からこちらに向かって同じような背丈の小さなふたりがこちらに向かってとぼとぼと歩いてくる姿が見える。
ひとりはツインテールの頭で白いTシャツの女の子で、もうひとりは緑色のTシャツを着た男の子だ。
ふたりはしっかり手を繋ぎ、うつむきながらこちらに向かって歩いて来る。
緑色のTシャツを見て、すぐに分かった。
「……翔琉」
隣の女の子は翔琉の幼なじみの友寄芽衣ちゃんだった。
ふたりは小さい頃からよく一緒に遊んでいて、仲良しだ。毎日のように一緒に遊んでるし、人見知りの翔琉が唯一全開の笑顔を見せる子だ。
でも、今日はいつもと違って明らかに様子がおかしい。



