恋蛍2

好きになったのは、たぶん、オレの方が先だったんじゃないかと思う。というか、そうだ。
同じクラスになって、仲良くなって、一緒におる時間も自然と増えて、会話も弾んで。


でーじ笑う子だな、表情がコロコロ変わって可愛いな、なんていつの間にか目で追いかけるようになって。そんなんだから、愛莉はモテよるからね。告白しないと誰かに取られてしまうと思って、焦って、律に告白しようか相談していた時期だった。

「結弦のこと好きです。付き合ってください」


だから、愛莉の方から告白してきてくれた時は本当に嬉かった。
でも、終わりは予想以上にすぐにやってきた。


「なんか……違うんだよね。ごめん。別れたい」


付き合う時も別れる時も、愛莉の方からだった。
結弦とは友達のままでおった方が楽しい。
そう言われた。


なのに、別れて1年後終業式のあと、裏庭に呼ばれた。


『やっぱり結弦のこと忘れることできなかった。もう一度、やり直したい。結弦と付き合いたい。好きです』


正直、意味が分からなかった。だから、ちょっとの間言葉も声も出てこなくて、沈黙してしまった。
てっきり、オレのことは友達以上には見れないんだろうなと思っていたのに。
そもそも、別れの理由がそれだっただけに。
忘れることができなかったってどういうことなのか、意味が分からなかった。


女の子の考えよることはさっぱり分からん。


付き合うことも、別れることも、そんな簡単なことなのか?
それで、別れてもやり直すことも簡単にできるもんなのか?
オレには……よく分からん。


「なあ、律」


オレは床に寝転んだまま、ただ真っ白い天井をじっと見つめながら律に問いかけた。


「律はなんで杏と付き合っとるのさ?」


「はあ?」


「いや、好きだからゆうのは分かるさ。けど、お前ら中学の頃からずーっとだろ? 別れようと思ったことねーらんか?」