「うちの行動に気ぃつけ、言われたんやろ。目ぇ離すなって」
ちゃう? 、と聞かれて完全なドンピシャリの言葉に心臓が飛び跳ねた。
「いや……あ……」
あまりにもドンピシャに言い当てられ、完全にしどろもどろになったオレを冷ややかな目で見上げるいろはは、「ふうん」とため息に似た息を吐き出した。
「なんや、図星か。結弦くんて、わっかりやす」
そして、ようやくオレの手首を離し、地面に落ちた鍵を拾うとそれをショルダーバッグにしまいながら、「アホとちゃう?」と鼻で笑った。
「大丈夫や。死んだりせえへんよ。心配せんでも、うち、そこまで弱ないわ」
まさか、多重人格じゃないだろうね。
そう思わずにはおれんかった。
まるで天使みたいに人懐っこく笑ったかと思えば、次の瞬間には、生きとることさえ苦痛とでも言わんばかりの陰りのある悪魔のような目をしとったり。
と思えば、2秒後にはころりと表情が変わる。
「ほな行こか。結弦くん」
にっこり微笑むいろはの声色まで清く澄んだものに変わっていた。
「結弦くん?」
「えっ? ……ああ、行くさ」
どうなっとるのか?
オレの頭の中は軽いパニック状態になっていた。
天使のようにふわふわと人懐っこく微笑む、いろは。
未だ誰にも発見されていない湖のようなや冷たく凍てついた目をした、悪魔のような、いろは。
どっちが本当の彼女なのだろう。
「結弦くん、背ぇ高いね。いくつ?」
「178さ」
「へえ。うちな、160ぴったんこや。女にしては高い方やろ?」
燦々と太陽が降り注ぐ海沿いの眩しい道をふたり並んで歩く。
話せば話すほど、いろはという子は不思議でつかめない子だった。
ちゃう? 、と聞かれて完全なドンピシャリの言葉に心臓が飛び跳ねた。
「いや……あ……」
あまりにもドンピシャに言い当てられ、完全にしどろもどろになったオレを冷ややかな目で見上げるいろはは、「ふうん」とため息に似た息を吐き出した。
「なんや、図星か。結弦くんて、わっかりやす」
そして、ようやくオレの手首を離し、地面に落ちた鍵を拾うとそれをショルダーバッグにしまいながら、「アホとちゃう?」と鼻で笑った。
「大丈夫や。死んだりせえへんよ。心配せんでも、うち、そこまで弱ないわ」
まさか、多重人格じゃないだろうね。
そう思わずにはおれんかった。
まるで天使みたいに人懐っこく笑ったかと思えば、次の瞬間には、生きとることさえ苦痛とでも言わんばかりの陰りのある悪魔のような目をしとったり。
と思えば、2秒後にはころりと表情が変わる。
「ほな行こか。結弦くん」
にっこり微笑むいろはの声色まで清く澄んだものに変わっていた。
「結弦くん?」
「えっ? ……ああ、行くさ」
どうなっとるのか?
オレの頭の中は軽いパニック状態になっていた。
天使のようにふわふわと人懐っこく微笑む、いろは。
未だ誰にも発見されていない湖のようなや冷たく凍てついた目をした、悪魔のような、いろは。
どっちが本当の彼女なのだろう。
「結弦くん、背ぇ高いね。いくつ?」
「178さ」
「へえ。うちな、160ぴったんこや。女にしては高い方やろ?」
燦々と太陽が降り注ぐ海沿いの眩しい道をふたり並んで歩く。
話せば話すほど、いろはという子は不思議でつかめない子だった。



