「昨日は石垣島に泊まりよったんよね? ひとりで心細かったのと違う?」
葵先生が心配そうに訊くと、当の本人ときよったらけろっとして飄々とした様子で頷いた。
「大丈夫。やけど、まさか台風や思ってなかったから。フェリー運休や言わはるし。でも、今朝から動いとったから早いので来たんや」
ああ、そうか。
夏休みだから遊びに来たのか。
そんなことを思いながら、会話を弾ませるふたりをぼんやり見ていると、美波姉ェネェに頭をぽかっと叩かれた。
「あがっ……なにしよーるか」
「なーに見とれとるば」
と美波姉ェネェがニヤニヤしながら言う。そして、彼女を顎で指して、ニッタニタする。
「結弦ぅ、見てみよーさい。ありゃあ、姉ェネェ以来でーのじちゅらさんさあ」
「ばっ、ばかか! 見とれていたわけじゃないっさあ!」
オレは叩かれた頭を擦りながらヘンと鼻で笑い飛ばしてやった。
「なーにムキになりよーる」
へんな子だねえー、そう言って、美波姉ェネェはやっぱりまた肉じゃがに手を伸ばす。
「いーやぁ。姉ェネェがこん島に来よった日のこと思い出すねえー。なつかしいさぁー」
人魚姫さんが来たと思った、とか、そりゃあもうでーじキレイでさー、だとか。
美波姉ェネェは懐かしそうにピーチクパーチクしゃべりながら、肉じゃがをつまんだ。
「もー、おばちゃん言ったでしょ?」
と、葵先生の声に再び視線を玄関のふたりに戻した。
「迎えに行くから、連絡してねってさ」
「ごめんなさい。やけど、葵おばちゃんお医者さんやろ? 忙しいやろ? 迷惑掛けたなかったんよ。それより、うちの荷物届いとる?」
「うん。もう届きよったよ」
「ああ、良かったあ。おおきに」
「それにしても、良くここまで来れたね」
葵先生が言うと、彼女は「ああ」とオレを指差してきた。
葵先生が心配そうに訊くと、当の本人ときよったらけろっとして飄々とした様子で頷いた。
「大丈夫。やけど、まさか台風や思ってなかったから。フェリー運休や言わはるし。でも、今朝から動いとったから早いので来たんや」
ああ、そうか。
夏休みだから遊びに来たのか。
そんなことを思いながら、会話を弾ませるふたりをぼんやり見ていると、美波姉ェネェに頭をぽかっと叩かれた。
「あがっ……なにしよーるか」
「なーに見とれとるば」
と美波姉ェネェがニヤニヤしながら言う。そして、彼女を顎で指して、ニッタニタする。
「結弦ぅ、見てみよーさい。ありゃあ、姉ェネェ以来でーのじちゅらさんさあ」
「ばっ、ばかか! 見とれていたわけじゃないっさあ!」
オレは叩かれた頭を擦りながらヘンと鼻で笑い飛ばしてやった。
「なーにムキになりよーる」
へんな子だねえー、そう言って、美波姉ェネェはやっぱりまた肉じゃがに手を伸ばす。
「いーやぁ。姉ェネェがこん島に来よった日のこと思い出すねえー。なつかしいさぁー」
人魚姫さんが来たと思った、とか、そりゃあもうでーじキレイでさー、だとか。
美波姉ェネェは懐かしそうにピーチクパーチクしゃべりながら、肉じゃがをつまんだ。
「もー、おばちゃん言ったでしょ?」
と、葵先生の声に再び視線を玄関のふたりに戻した。
「迎えに行くから、連絡してねってさ」
「ごめんなさい。やけど、葵おばちゃんお医者さんやろ? 忙しいやろ? 迷惑掛けたなかったんよ。それより、うちの荷物届いとる?」
「うん。もう届きよったよ」
「ああ、良かったあ。おおきに」
「それにしても、良くここまで来れたね」
葵先生が言うと、彼女は「ああ」とオレを指差してきた。



