石垣島からフェリーで約15分ほどにある小さな離島、与那星島。


この島には不思議な言い伝えがいくつかある。


風が強い日や海の波が高い日は、浜のガジュマルに触れてはならん。


大切な人に災いが降りかかるから。


とか。


浜の砂や植物を持ち出したら、必ず返さなければならん。


身の回りで良くない出来事が続くから。


だとか。


島の大人たちは言う。


この島には神様が住んでおるのさ、と。


なにかと便利になったこの時代だっていうのに、バスは1日3本しか走らんし、コンビニ1件ない小さな島だけど、オレは与那星島が大好きだ。


ハイビスカス、ブーゲンビリアにアラマンダ。


元気いっぱいの原色の花々は1年中咲き誇りよるし。


手付かずのまま残っとる大自然に囲まれた風景は、太陽の光を浴びて輝いておるし。


夜は世界中の宝石をかき集めてばらまいたような満天の星が、島を包み込む。


なにより、海が綺麗だ。


決め細かくてさらさらの白いパウダーサンドのビーチ。


浜の片隅でひっそりと海を見守るように立っている、1本のガジュマルの大木。


太陽の陽射しを跳ね返して燦然を煌めく水面。


日没してからも仄明るくあたたかな夕闇に染まった浜でひとり過ごす時間が、小さい頃から大好きだった。