月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】



『主様』


「お? 涙雨おかえりー」
 

開いている縁側から、紫色の小鳥が飛来してきた。


『やはり朝の空気はよいの。天龍と違って緑はないが、朝はまだ清浄じゃ』
 

涙雨の言い方に、苦笑がこぼれた。
 

涙雨は俺が天龍に引っ込んでから式にくだったから、白や百合姫と面識はない。


ずっと山の中にいたから、首都は珍しいものばかりらしい。


「涙雨、メシあるけど?」


『おお。縁殿、涙雨もいただいてよいか?』
 

と、涙雨が人型に転身(てんしん)する。


涙雨が人型をとれば、六、七歳くらいの男の子だ。


俺の式になるまで誰かの使役(しえき)になったことのない涙雨はそれまで人型をとったことがなくて、転身して姿は俺をベースにしているらしい。


確かに、俺の子どもの頃の写真を見ると少し似ている。


……涙雨は常に人の姿でいるわけではないから、弟ってのは難しい。


たまに遊びに来る親戚の子どもってことにしておくかな。


「涙雨ちゃん、ご飯はどんぶりでいい?」


「よろしく頼む!」
 

……見た目子どもの涙雨は、俺三人分は食べる。