『主様』
「お? 涙雨おかえりー」
開いている縁側から、紫色の小鳥が飛来してきた。
『やはり朝の空気はよいの。天龍と違って緑はないが、朝はまだ清浄じゃ』
涙雨の言い方に、苦笑がこぼれた。
涙雨は俺が天龍に引っ込んでから式にくだったから、白や百合姫と面識はない。
ずっと山の中にいたから、首都は珍しいものばかりらしい。
「涙雨、メシあるけど?」
『おお。縁殿、涙雨もいただいてよいか?』
と、涙雨が人型に転身(てんしん)する。
涙雨が人型をとれば、六、七歳くらいの男の子だ。
俺の式になるまで誰かの使役(しえき)になったことのない涙雨はそれまで人型をとったことがなくて、転身して姿は俺をベースにしているらしい。
確かに、俺の子どもの頃の写真を見ると少し似ている。
……涙雨は常に人の姿でいるわけではないから、弟ってのは難しい。
たまに遊びに来る親戚の子どもってことにしておくかな。
「涙雨ちゃん、ご飯はどんぶりでいい?」
「よろしく頼む!」
……見た目子どもの涙雨は、俺三人分は食べる。



