「……結構な性格してますね、娘さんの彼氏」
 

遠くに見つつ、黒藤に言えたことかよと思いつつ、しかし俺は口にはしなかった。


墓石に向かう青年は続ける。


「いつもの調子、戻ったな」


「う」


「一番は、咲桜に、生きていることを後悔させませんので、ご安心ください」


「―――――――」
 

涙、だった。
 

彼女は、娘とその恋人らしい青年をただ、見て、泣いていた。